小津神社(守山市)概要: 小津神社は滋賀県守山市杉江町に鎮座している神社です。小津神社の創建は允恭天皇30年(441)に小津君(当地の開発神で景行天皇の皇子日本武尊の御孫)の分霊を勧請したのが始まりと伝えられています。欽明天皇の御代(539〜571年)に洪水により本殿が琵琶湖に流出し現在地まで引き寄せた故事から例祭には当社から赤野若宮神社まで長刀隊や笛、太鼓が往復する長刀踊の由来となっています。後允恭天皇の皇妃玉津姫命の願いにより宇賀之御魂命を主祭神として合祀し、延長5年(927)に編纂された延喜式神名帳には式内社として記載されました。
小津神社は当地の産土神である共に歴代領主や為政者から崇敬庇護され南北朝の騒乱時の建武2年(1335)には足利尊氏が境内で兵馬が入るのを固く禁じました。応仁の乱の兵火により多くの社殿が焼失、さらに永正2年(1505)に再び兵乱で大きな被害を受けましたが、当時の領主六角高頼が社殿の再建に尽力したとされています。古くから神仏習合し別当寺院として智泉院が祭祀を司ってきましたがを明治時代初頭に発令された神仏分離令により仏教色が廃され県社に列しています。
現在の小津神社本殿は大永6年(1526)に再建されたもので(社記録による)三間社流造、檜皮葺、前室付、1間向拝付、意匠や彫刻、組物など優れ、当時からの建材も数多く見られ室町時代後期に建てられた神社本殿建築の遺構として大変貴重なことから明治39年(1906)に国指定重要文化財に指定されています。拝殿は木造平屋建て、切妻、銅板葺き、平入、桁行3間、張間3間、翼舎付、外壁は真壁造り板張り。小津神社の境内社である三之宮本殿は安土桃山時代に造営されたもので、一間社流造、桧皮葺き、当時の神社本殿建築の遺構として貴重な事から昭和45年(1970)に守山市指定文化財に指定されています。
小津神社の神像である木造宇賀之伽魂命坐像は、松尾大社(京都府京都市西京区嵐山宮町)、薬師寺(奈良県奈良市西ノ京町)の神像と共に日本三大神像の一つで、制作時期は平安時代中期、像高50.3cm、木造、一木造、彩色仕上げ、保存状態が良く意匠に優れ大変貴重な事から明治42年(1909)に国指定重要文化財に指定されています。毎年5月の例祭で奉納される長力踊は古式を伝える貴重な神事である事から、名称「近江のケンケト祭り・長刀振り」として昭和33年(1958)に滋賀県選択無形民俗文化財、昭和59年(1984)に国選択無形民俗文化財に選択されています。祭神:宇迦之御魂命。配祀神:素盞鳴尊、大市姫命。
小津神社の文化財
・ 小津神社本殿−大永6年−国指定重要文化財
・ 木造宇賀之御魂命座像−平安時代中期−国指定重要文化財
・ 長刀踊−国指定無形民俗文化財
・ 小津神社三之宮本殿−桃山時代−守山市指定文化財
【 参考:文献等 】
・ 現地案内板-滋賀県教育委員会
・ 現地案内板(由緒)-小津神社
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