千手院(長浜市)概要: 来迎山千手院は滋賀県長浜市川道町に境内を構えている真言宗豊山派の寺院です。千手院の創建は室町時代の康正2年(1456)に永澄によって開かれたのが始まりと伝えられています。室町時代に入ると足利将軍家から庇護され初代将軍足利尊氏から寺領150石が安堵されています。古くから神仏習合し現在の川道神社の祭祀を司ってきましたが、明治時代初頭に発令された神仏分離令により川道神社とは分離を余儀なくされています。
本尊の十一面千手観世音菩薩像は平安時代に制作されたもので、伝承によると仏ヶ淵で漁師が網を張った際に引き上げられ泰平寺の本尊となったものの、その後、千手院の前身寺院で泰平寺の12坊の一つ青竜寺に遷されたそうです。十一面千手観世音菩薩像は古くから「川道の観音さま」と呼ばれ広く信仰されていた存在で、本堂の大宮殿に安置され33年に一度御開帳される秘仏、像高:179cm、桧材、一木造、大変貴重な事から明治34年(1901)に国指定重要文化財に指定されています。
御代仏である千手観音立像は伝承によると、上記の十一面千手観世音菩薩像を仏ヶ淵で拾い上げた際、霊夢に観音菩薩の化身が立ち、仏ヶ淵に沈む霊木で同じ形の仏像を祭なさいとの御告げにより制作されたと伝わる古仏で、像高181.8cm、一木造、大変貴重な事から平成23年(2011)に国指定重要文化財に指定されています。
千手院山門は江戸時代初期に造営されたもので、切妻、本瓦葺き、一間一戸、四脚門形式。本堂は江戸時代中期の安永元年(1772)に造営されたもので、木造平屋建て、入母屋、本瓦葺き、平入、桁行3間、張間3間、正面1間向拝付き、外壁は真壁造板張り。鐘楼は入母屋、本瓦葺き、外壁は柱のみの吹き放し。山号:来迎山。宗派:真言宗豊山派。本尊:千手観世音菩薩。
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