葛川明王院(大津市)概要: 阿都山葛川寺息障明王院は滋賀県大津市葛川坊村町に境内を構えている天台宗の寺院です。案内板によると「 明王院は平安時代のはじめ、相応和尚が開いた修験道場で、天台回峯行の重要な道場です。有名な参籠札や重要文化財の仏像などがあり7月18日夜、伝統行事の太鼓まわしが行われます。また、向い側には明王院の鎮守地主神社があります。 大津市 」とあります。
明王院の創建は平安時代初期の貞観元年(859)、相応和尚が地主神社の祭神である思古淵神から当地が霊地という事の御告げがあり、この地を訪れると思古淵神の化身と思われる2人の童子が現れました。2人の導きで比良山深く導かれると霊地と思われる三の滝で荒行を七日七晩荒行を行いました。すると、不思議な事に不動明王の姿をした霊木を発見し、そこから自ら千手観音像を彫り込み、堂宇を設けて安置したのが明王院の始まりと伝えられています(この霊木から3躯の不動明王像を得て、葛川明王院、比叡山無動寺、伊崎寺の3寺で祭った事から天台修験の三大聖地として特別視しました)。
葛川明王院本堂は江戸時代中期の正徳5年(1715)に造営されたもので、木造平屋建て、入母屋、妻入り、とち葺き、間口3間、奥行き5間、正面1間唐破風玄関屋根付き、外壁は真壁造り板張り。葛川明王院護摩堂は江戸時代中期の宝暦5年(1755)に造営されたもので、木造平屋建て、宝形造、こけら葺き、桁行3間、張間3間、正面1間向拝付き、外壁は真壁造り板張り木部朱塗り、花頭窓付。
葛川明王院庵室は江戸時代後期の天保5年(1834)に造営されたもので、木造平屋建て、入母屋、こけら葺き、平入、桁行4間半、正面1間唐破風玄関屋根付き、外壁は真壁造り板張り。政所表門は室町時代末期の大永6年(1526)に造営されたもので、切妻、こけら葺き、一間一戸、棟門。近畿三十六不動尊第27番札所。山号:阿都山。寺号:葛川寺。院号:息障明王院。宗派:天台宗。本尊:千手観音菩薩。
葛川明王院の文化財
・ 本堂(附:厨子)−正徳5年−国指定重要文化財
・ 護摩堂(附:厨子)−宝暦5年−国指定重要文化財
・ 庵室−天保5年−国指定重要文化財
・ 政所表門−江戸時代初期−国指定重要文化財
・ 境内−国指定史跡
・ 紙本著色光明真言功徳絵詞−室町時代−国指定重要文化財
・ 絹本著色不動明王二童子像−国指定重要文化財
・ 明王院の本尊(千手・不動・毘沙門天)−12世紀−国指定重要文化財
・ 葛川明王院文書(4336通)−平安〜江戸−国指定重要文化財
・ 葛川与伊香立庄相論絵図(2鋪)− 文保元・2年−国指定重要文化財
・ 葛川明王院参籠札(501枚)−鎌倉〜江戸−国指定重要文化財
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