本陣(土山宿)概要: 寛永11年(1634)、3代将軍徳川家光が京都に上洛の際、土山宿の本陣が設けられ初代土山喜左衛門(甲賀五十三家に数えられた土山鹿之助の後裔)が任命されました。本陣では大名や公家など身分が高い人物が宿泊や休息で利用し、建物も座敷や玄関、庭園など格式の高い意匠となっています。特に土山家では熊本藩主細川家や薩摩藩主島津家、長州藩毛利家など西国の大藩が参勤交代時に宿所として利用し、江戸時代末期には14代将軍徳川家茂や篤姫(天璋院:島津本家の養女、第13代将軍徳川家定御台所)なども利用しています。土山本陣宿帳(16冊・16370件)には本陣を利用した人物や日付、献立、献上品など詳しく記載されていて当時の大名や公家などがどのように本陣を利用したのがわかる資料として貴重な存在とされています明治維新後に宿場制度が廃止になると本陣としての役割が失われますが、明治天皇の行幸の際には宿所として利用され、その日が天皇の誕生日だったとして住民にも酒や鯣が下賜されました。現在の建物の詳細は不詳ですが木造2階建、切妻、桟瓦葺、平入、外壁は正面が黒漆喰仕上げ、間口も広く格式を感じます。
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