金勝寺(栗東市)概要: 金勝山金勝寺は滋賀県栗東市荒張に境内を構えている天台宗の寺院です。金勝寺の創建は天平5年(733)、聖武天皇の勅願により、良弁が開いたのが始まりとされます。当地は紫香楽宮から見て北東にあたり、都の鬼門鎮護の寺院として重要視され同様の理由で長寿寺、常楽寺なども良弁が開山した由来を持っています。又、元々は白鳳元年(672)に役小角が修行した場所だった聖地だったとされ養老元年(717)に良弁が開基したとも伝えられています。弘仁6年(815)、願安(興福寺の伝燈大法師)によって境内が整備され天長10年(833)に金勝寺の勅額を賜っています。その後、寺運が隆盛し最盛期には25の別院を擁し、天皇家や源頼朝などかも帰依されました。天文18年(1549)の火災により多くの堂宇が焼失した事で衰微しましたが慶長17年(1612)、徳川家康により再興され30石の寺領が寄進されています。その後も歴代将軍により朱印地が安堵されましたが隆盛時までは至りませんでした。
金勝寺仁王門は入母屋、茅葺、三間一戸、桁行3間、張間2間、八脚単層門、外壁は真壁造り板張り、左右には木造四天王立像と木造天部形立像が安置されてます。二月堂は木造平屋建て、入母屋、鉄板葺き、平入、桁行2間、正面1間向拝付き、外壁は真壁造り白漆喰仕上げ、正面花頭窓付、内部には木造軍茶利明王立像が安置されています。木造軍茶利明王立像は平安時代の10世紀後半頃に制作されたと推定される古仏で、桧材、一木彫の内刳り、像高360.5cm、大変貴重な事から昭和34年(1959)に国指定重要文化財に指定されています。
金勝寺本堂は江戸時代初期に仮堂として造営されたもので、木造平屋建て、寄棟、鉄板葺き、平入、桁行3間、張間3間、外壁は真壁造り板張り、内陣には須弥壇が設置され本尊である木造釈迦如来坐像が安置されています。木造釈迦如来坐像は平安時代後期の12世紀頃に制作されたと推定されるもので、漆箔仕上げ、像高218.8cm、大変貴重な事から昭和34年(1959)に国指定重要文化財に指定されています。
金勝寺虚空蔵堂は昭和に建立されたもので、木造平屋建て、入母屋、銅板葺き、妻入り、正面1間向拝付き、外壁は真壁造り白漆喰仕上げ、内部には木造虚空蔵菩薩半跏像(平安時代後期11世紀後半頃、桧材、彩色仕上げ、像高194.0cm)と毘沙門天立像(平安時代、彩色仕上げ、像高167.6cm)と地蔵菩薩坐像(平安時代、古色、像高84.2cm)が安置されています。木造虚空蔵菩薩半跏像と毘沙門天立像と地蔵菩薩坐像は大変貴重な事から明治33年(1900)に国指定重要文化財に指定されています。山号:金勝山。宗派:天台宗。本尊:釈迦如来。
金勝寺の文化財
・ 木造釈迦如来坐像−平安時代−国指定重要文化財(彫刻)
・ 虚空蔵菩薩半跏像−平安時代−国指定重要文化財(彫刻)
・ 軍茶利明王立像−平安時代−国指定重要文化財(彫刻)
・ 毘沙門天立像−平安時代−国指定重要文化財(彫刻)
・ 地蔵菩薩坐像−平安時代−国指定重要文化財(彫刻)
・ 狛坂磨崖仏−平安時代−国指定史跡
・ 木造僧形八幡神坐像−平安時代−滋賀県指定文化財(彫刻)
・ 木造女神坐像−平安時代−滋賀県指定文化財(彫刻)
・ 金勝寺制札−室町時代−滋賀県指定文化財(歴史資料)
・ 紺紙金字光明経巻第一−平安時代−滋賀県指定文化財(書跡)
・ 木造四天王立像−平安時代−滋賀県指定文化財(彫刻)
・ 木造天部形立像−平安時代−滋賀県指定文化財(彫刻)
・ 石造下乗石−南北朝〜室町時代−栗東市指定文化財(工芸品)
・ 石造隆堯法印宝篋印塔−室町時代−栗東市指定文化財(建造物)
・ 石造宝塔−鎌倉時代−栗東市指定文化財(建造物)
・ 木造地蔵菩薩立像−平安時代−栗東市指定文化財(彫刻)
・ 金勝寺遺跡−平安時代−栗東市指定史跡
・ 独鈷杵・五鈷杵−鎌倉時代−栗東市指定文化財(工芸品)
・ 木造男神坐像(4躯)・木造僧形坐像(2躯)-栗東市指定文化財(彫刻)
・ 紙本墨書金勝寺本堂再建勧進状-室町-栗東市指定文化財(書籍)
・ 紙本墨書狛坂寺本尊縁起-室町時代-栗東市指定文化財(書籍)
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