西の丸三重櫓及び続櫓(彦根城)概要: 彦根城西の丸三重櫓は本丸から一段下がった西側に位置する西の丸の北端に配されている三重三階櫓で矩形に東と北に一重の続櫓を従えています。基本的に彦根城の北西方面は琵琶湖が控えている為、他の方角に比べて防衛意識が比較的低く、この三重櫓が防衛の拠点として想定されたと思われます。櫓直下の石垣は高石垣で、深い大堀切で敵を阻む構成で、続櫓には鉄砲狭間と格子戸が設けられ攻撃出来るようになっていました。三重櫓の建築年は不詳ですが、井伊家の歴史書である「井伊年譜」の万治2年(1659)の記事で記載されている為、江戸時代初期には既に存在し、江戸時代末期の嘉永8年(1853)には殆どの部材を入れ替える大改修が行われています(伝承では浅井長政の居城である小谷城の天守閣を移築したものと伝えられていました)。西の丸三重櫓は入母屋、本瓦葺き、外壁は大壁造り白漆喰仕上げ、天守閣とは異なり華美な装飾がなく実践的な施設でした。続櫓は三重櫓の北側と西側に付属し三棟でL字型の平面を構成、形式は木造平屋建て、切妻、本瓦葺き、外壁は大壁造り白漆喰仕上げ。彦根城西の丸三重櫓及び続櫓は江戸時代初期の城郭建築の遺構として大変貴重な事から昭和26年(1951)9月22日に国指定重要文化財に指定されています。
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