筑摩神社(米原市)概要: 筑摩神社は滋賀県米原市朝妻筑摩に鎮座している神社です。筑摩神社の創建は孝安天皇28年(365)に勧請されたのが始まりと伝えられています。伝説の域を出ませんが神功皇后が三韓征伐に出陣するにあたり戦勝祈願を当社で行ったとされ、近江国高嶋郷三尾野出身で、越後国を治めていた継体天皇も当社で奉幣の儀を行ったとされます。桓武天皇の御代(781〜806年)には境内に大膳職御厨所(筑摩御厨)が設置されたとことから大歳神、倉稲魂神、大市姫神といった食物に関係ある神々が祭られるようになり筑摩の産土神として信仰を広げました。
筑摩神社は格式も高く仁寿2年(852)には従五位下、寛元3年(1245)には正一位に列するなど朝廷にも知られた存在となり後鳥羽天皇(第82代天皇・在位:寿永2年1183年〜建久9年1198年)からも社領が安堵されています。一方、神仏習合し最盛期には別当寺院が6ヶ寺を擁しており社僧は社殿に参籠し年中御経を読み上げたそうです。
平安時代末期に平将門から社領を没収され一時衰退しましたが、建久2年(1191)には鎌倉幕府初代将軍源頼朝が有力御家人である佐々木定綱に命じて社殿を造営させ、社領の寄進も行っています。応仁の乱の兵火により大きな被害を受け再び衰微したものの永禄7年(1564)に当時の神主と周辺領主の尽力により再興を果たしています。
江戸時代に入ると筑摩神社は彦根藩主井伊家から崇敬庇護され、嘉永3年(1850)には第12代藩主井伊直亨公が例祭の上覧を行っています。明治時代初頭に発令された神仏分離令を経て、明治16年(1833)に郷社、大正4年(1915)に県社に列し神饌幣帛料供進社に指定されています。例祭である「鍋冠まつり」は日本三大奇祭のひとつに数えられるもので婦女の貞操を重んじる祭りとして有名で米原市指定無形民俗文化財に指定されています。祭神:御食津神。配祀神:大歳神、倉稲魂神、大市姫神。
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