教林坊(安土町)概要: 繖山正覚院教林坊は滋賀県近江八幡市安土町石寺に境内を構えている天台宗の寺院です。 教林坊の創建は不詳ですが伝承によると推古13年(605)、聖徳太子によって開かれたのが始まりと伝えられています。寺号は聖徳太子が境内の林の中の大岩で説法した事に起因し「教林」と名付けられ境内には由来となった「太子の説法岩」や石窟には聖徳太子が自ら彫刻したと伝わる石仏赤川観音像を本尊として安置しています。石仏赤川観音像は難産で苦しんでいた女性の前に出現し自ら帝王切開し赤子を取り上げ母子共に無事だったとの伝承から安産、子授の守護神として特に女性から信仰の対象となっています。
当初は観音正寺が擁した三十三カ寺(子院)の1つとして開かれましたが戦国時代の兵火により堂宇が焼失し衰退、天正13年(1585)に再興され、観音正寺の子院としは唯一残る寺院です(江戸時代末期には、定円坊本乗坊・松林坊・宝泉坊観泉坊・松寿坊・徳万坊・光林坊・教林坊の10カ寺が残っていましたが、神仏分離令や廃仏毀釈運動などにより多くが廃寺に追い込まれています)。
現在の教林坊庫裏は江戸時代前期に建てられたもので入母屋、茅葺、桁行6.5間、梁間4間、周囲に瓦葺の下屋が設けられています。表門は江戸時代後期に建てられた薬医門形式、切妻、茅葺の建物で庫裏と共に貴重な建物である事から近江八幡市(旧安土町)指定文化財に指定されています。
庭園は桃山時代に小堀遠州が作庭したと伝えられるもので、庫裏背後の傾斜地を利用し座敷正面に池、背景に蓬莱山を模した大岩、池には岩島(亀石)、岩石(鶴石)、滝の石組みなどを配した泉観賞式の名園として近江八幡市(旧安土町)指定名勝に指定されています。
寺宝である木造釈迦如来坐像は室町時代に彫刻されたもので像高36cm、小像ですが意匠の優れた古仏として貴重な事から近江八幡市(旧安土町)指定文化財に指定されています。
教林坊の境内は苔むした古寺の様子を色濃く残す事から白洲正子は著書「かくれ里」の中で教林坊の石庭や境内の事を見て「石の寺」と評しています。山号:繖山。院号:正覚院。宗派:天台宗。本尊:赤川観音。
薬医門を簡単に説明した動画
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