摠見寺（安土町）概要： 遠景山摠見寺は滋賀県近江八幡市安土町下豊浦に境内を構えている臨済宗妙心寺派の寺院です。 摠見寺の創建は天正４年（１５７６）、織田信長が江雲寺を安土城の城内に移したのが始まりと伝えられています。その際、仁王門や三重塔など堂宇の多くは近隣の寺院から移され、天正１０年（１５８２）に安土城落城の際も兵火を免れます。織田家の本家筋は没落したものの、その後台頭した豊臣家が庇護し、豊臣秀吉の跡を継いだ豊臣秀頼は書院と庫裏などを造営しています。江戸時代に入ると幕府が庇護し寺領２２７石５斗が安堵され、衰退したものの信長の後裔である丹波柏原藩主織田信休は元禄８年（１６９５）に徳源寺にあった信雄系の墓を安土城内に移したり、信長の追悼供養（百回忌：天和元年:１６８１年・百五十回忌：享保１６年:１７３１年・二百回忌：天明元年:１７８１年・二百五十回忌：天保３年:１８３２年）には使者を送り、住職も織田家縁の人物が歴任しています。
江戸時代後期には２２棟の堂宇がありましたが安政元年（１８５４）の大火により仁王門や三重塔、裏門を除く多くの堂宇が焼失し、明治に入って寺領が失われ衰微し、明治１８年（１８８５）に安土城内にあった徳川家康屋敷跡に仮本堂を移しています。
現在の三重塔は享徳３年（１４５４）に長寿寺（滋賀県湖南市東寺）に建立されたもので（心柱に「享徳三年建立、天文二十四年修理」の墨書有り）、三重塔婆、宝形屋根、本瓦葺、桁行３間（３．８９ｍ）、梁間３間（３．８９ｍ）、総高さ１９．７ｍ、内部には来迎壁を設けて須弥壇を設置、室町時代に建てられた三重塔の遺構として大変貴重な事から明治３４年（１９０１）に特別保護建造物（国指定重要文化財）に指定されています。
二王門（仁王門）は元亀２年（１５７１）に柏木神社（滋賀県甲賀市水口町北脇）に建立されと推定される建物で（棟木に「元亀二年七月甲賀武士山中俊好建立」の墨書）、入母屋、本瓦葺、三間一戸、八脚楼門形式、桁行３間、張間２間、外壁は真壁造白漆喰仕上げ、上層部高欄付き、下層部両側には金剛力士像が安置、室町時代末期に建てられた楼門建築の遺構として大変貴重な事から明治３４年（１９０１）に特別保護建造物（国指定重要文化財）に指定されています。
山門（楼門）に安置されている木造金剛力士像は応仁元年（１４６７）に製作されたもので、桧材、寄木造、像高約２ｍ、それと、信長が使用したと伝わる銀象眼の鉄製刀鍔の２点は大変貴重な事からそれぞれ国指定重要文化財に指定されています。摠見寺は寺宝も多く絹本著色織田信長像（絵画）、安土城古図（絵画）、伝豊臣秀吉所用陣羽織（工芸品）、伝織田信長所用陣羽織（工芸品）、判金（工芸品）、石標（有形民俗文化財）、が近江八幡市指定文化財に指定されています。江州三十三観音霊場第２５番札所。山号：遠景山。宗派：臨済宗妙心寺派。本尊：聖観世音菩薩像（木造十一面観世音像、伝：安阿弥（快慶）作）。
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