芦浦観音寺(草津市)概要: 大慈山芦浦観音寺は滋賀県草津市芦浦町に境内を構えている天台宗の寺院です。芦浦観音寺の創建は用明天皇(第31代天皇・在位:585〜587年)の御代に聖徳太子が開いたとも、太子の命で秦河勝が開いたとも伝えられています。当初は三論宗の寺院だったようですが、延暦年間(782〜806年)に比叡山延暦寺が開かれると芦浦観音寺の境内が延暦寺の境内から見て東南の方角に位置していた事から巽(東南)の守護として天台宗に改宗しています。
その後戦乱の兵火などで大きな被害を受け衰退しましたが、応永15年(1408)歓雅によって再興され大きな影響力を持つようになりました。室町時代には幕府より湖上管船奉行の役職を与えられ寺領500石が安堵され、境内には琵琶湖の船奉行所が設置、戦国時代には織田信長に従い、豊臣秀吉にも船奉行に追認され、さらに近畿社寺奉行となり4万石が与えられました。江戸時代初期までは大名と同格と考えられ、2万4千石を領し江戸屋敷跡は東京都千代田区の観音坂の由来となっています。
芦浦観音寺境内は水掘と石垣で囲むことで城塞化し、寺院であると同時に秀吉の家臣と同等以上の格式を得て当地を支配しました。芦浦観音寺境内は当時の様子が色濃く残り国指定史跡に指定され、阿弥陀堂(入母屋、茅葺、桁行3間、梁間3間)と書院(入母屋、こけら葺、桁行5間、梁間3間、徳川将軍家の休息所と伝わる永原御茶屋を移築した建物)は国指定重要文化財に指定されています。山号:大慈山。宗派:天台宗。本尊:十一面観音菩薩。
芦浦観音寺の文化財
・ 阿弥陀堂−天文22年−国指定重要文化財
・ 書院−貞享2年−国指定重要文化財
・ 絹本著色黄不動尊像−平安時代−国指定重要文化財
・ 絹本著色薬師三尊像−鎌倉時代−国指定重要文化財
・ 絹本著色聖徳太子像−鎌倉時代−国指定重要文化財
・ 絹本著色十六羅漢図 (2幅)−室町時代−国指定重要文化財
・ 絹本著色五大尊像(4幅)−室町時代−国指定重要文化財
・ 木造阿弥陀如来立像−鎌倉時代−国指定重要文化財
・ 木造地蔵菩薩立像−鎌倉時代−国指定重要文化財
・ 木造薬師如来坐像−国指定重要文化財
・ 芦浦観音寺境内一帯−国指定史跡
・ 絹本著色観経変相図−滋賀県指定文化財
・ 豊臣秀吉自筆北野湯茶道具目録−滋賀県指定文化財
・ 芦浦観音寺文書(233点)−滋賀県指定文化財
|