走井元三大師堂(求法寺)概要: 求法寺は滋賀県大津市坂本5丁目(日吉大社境内の隣地)に境内を構えている天台宗の寺院です。求法寺の創建は不詳ですが元々は天台宗第4世安恵和尚の里坊だったと伝えられています。その後、第18世慈恵大師良源大僧正(元三大師)が比叡山初登山の折、当地で一旦休息し修行の決意を固めたことから求法寺と称するようになりました。
現在の走井元三大師堂の建物は、元亀2年(1571)の織田信長の比叡山焼き討ちの兵火により焼失し、再建されたものが再び火災で焼失し正徳4年(1714)に再建され建物で、入母屋、こけら葺、平入、桁行5間、梁間3間、正面屋根入口は軒唐破風、外壁は真壁造白漆喰仕上げ、内部は正面に礼堂(外陣)、背後には桁行3間、梁間3間の正堂(内陣:本尊である木造慈恵大師坐像を安置する厨子が設置、脇仏:如意輪観音、三十三所観音、不動明王)が続き平面的に見るとT字形の配置、棟梁は中島次郎左衛門尉(西教寺本堂建築と同じ大工集団)、走井堂(求法寺走井元三大師堂)は江戸時代中期に建てられた寺院本堂建築の遺構として貴重な存在で建築年代も明確なことから平成10年(1998)に滋賀県指定有形文化財に指定されています。
走井元三大師堂の本尊である木造慈恵大師坐像は文永4年(1267)、仏師法橋院農と絵師法橋快円によって製作されたもので桧材、寄木造、彩色、玉眼、像高80.5cm、大変貴重な事から国指定重要文化財に指定されています。宗派:天台宗。本尊:慈恵大師。
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