飯道神社(甲賀市)概要: 飯道神社は滋賀県甲賀市信楽町宮町に鎮座している神社です。飯道神社の創建は不詳ですが和銅7年(714)、熊野三社を勧請したのが始まりと伝えられています(飯道山:標高664.2mは古くから信仰の山だった事から古代の自然崇拝が起源となり飯道神が祀られていたのかも)。古くから中央にも知られた存在で元慶8年(884)に編纂された日本三代実録では従四位下に列し、延長5年(927)に編纂された延喜式神名帳には式内社として記載されていました(論社)。特に信楽杣の森林支配の神として朝廷からも崇敬され封戸の授与や東大寺二月堂の守護神、天平14年(742)に造営された紫香楽宮の鎮護社になるなど庇護されました。
奈良時代から平安時代にかけて神仏習合し、神宮寺として飯道寺が建立されると修業道場としても発展し最盛期には頂上付近に36坊を擁する大霊場となり戦国時代には多くの甲賀忍者を輩出したそうです。久安2年(1146)に「飯道権現」の勅額を受けると甲賀郡の総社としても認められ周辺住民からも信仰の対象となりました。明治時代初頭に発令された神仏分離令により飯道寺が廃寺となり飯道明神から社号を飯道神社に改め神社として独立し明治9年(1876)に村社に列しました。
現在の社殿は慶安3年(1650)に建立されたもので入母屋、桧皮葺、桁行3間、梁間3間、正面千鳥破風、3間軒唐破風向拝の身舎に3方に裳階を付けた複雑な建物です。さらに、社殿全体が極彩色で彩られ、随所に精細な彫刻が施され安土桃山時代の気風を継承した江戸時代前期の社殿建築の特徴をよくあらわしている大変貴重な事から大正14年(1928)に国指定重要文化財に指定されています。祭神:伊弉冊尊、速玉男神、事解男神。 配祀:大倭根子天皇、岐神、菊理媛神。
飯道神社の文化財
・ 飯道神本殿−慶安3年−国指定重要文化財
・ 懸仏−建長4年−滋賀県指定文化財
・ 灯籠−甲賀市指定文化財
・ 飯道山遺跡−甲賀市指定史跡
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