石坐神社(大津市)概要: 石坐神社は滋賀県大津市西の庄に鎮座している神社です。石坐神社の創建は不詳ですが近江国国造である治田連が御霊殿山を神体山(神奈備)として祀ったのが始まりと伝えられています(山頂には巨大な磐座があるそうです)。朱鳥元年(686)、尊良法師が一条院尊良粟津郷王の林の広庭に遷座し社殿を建立、宝亀4年(773)には正一位勲一等に列し鎮護国家之神として御勅宣があるなど朝廷からも崇敬される存在となり、延長5年(927)に編纂された延喜式神名帳に記載されている式内社近江国滋賀郡八座の1つに数えられました。
歴代の領主や為政者からも崇敬庇護され建久3年(1192)には源頼朝が当社に参拝に訪れ社領の寄進が行われ、正治元年(1199)には佐々木信綱(近江国守護職佐々木定綱の四男)が社殿を再建し、文永3年(1266)には佐々木守安が現在地に遷座し社殿を造営しています。
慶長5年(1600)の関ヶ原の戦いの際は西軍の陣が敷かれ多くの社宝や記録などが兵火により焼失しますが、翌慶長6年に膳所城の城主になった戸田一西が庇護し境内の整備や社領の寄進などが行われます。その後も歴代膳所藩主から庇護され石造玉垣や拝殿御倉の造営や社領が安堵され社運も隆盛しました。
現在の石坐神社本殿は文永3年(1266)に建立されたもので三間社流造、檜皮葺、後年に改修されているものの当時の古材や工法などが随所に残り鎌倉時代に建てられた神社本殿建築の遺構として貴重なことから滋賀県指定文化財に指定されています。祭神:天命開別尊 (天智天皇)、弘文天皇、伊賀采女宅子媛命、豊玉比古、彦坐王命、海津見神。
石坐神社の文化財
・ 木造天命開別命坐像−平安時代−国指定重要文化財
・ 木造伊賀采女宅子媛坐像−平安時代−国指定重要文化財
・ 木造弘文天皇坐像−平安時代−国指定重要文化財
・ 木造彦坐王坐像−鎌倉時代−国指定重要文化財
・ 石坐神社本殿−文永3年−滋賀県指定文化財
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