安藤家屋敷(長浜市)概要: 安藤家屋敷は滋賀県長浜市元浜町8丁目に位置しています。安藤家は藤原家の後裔とされる名家で、当初は伊予国(現在の愛媛県)に住していましたが室町時代に長浜へ土着し、天正11年(1583)の賤ヶ岳合戦で羽柴秀吉に協力した事で長浜城の城下町の中で「十人衆」に選定されました。十人衆は長浜の自治を司る有力商人で構成された組織で、宮部家、西村家、下村家、田辺家、安藤家、樋口家、大依家、川崎家、今村家、吉川家の10家が中心となり長浜の発展に尽力を尽くしました。
江戸時代に入るとその内の宮部家、西村家、樋口家、大依家は廃絶し、吉川家、下村家、安藤家は三年寄として大きな影響力を持ちました。安藤家は明治時代以降、「浜ちりめん」を扱う「呉服問屋」として財を成し豪商として飛躍的に発展し後裔の安藤興惣次郎は福島県福島市で中村合名会社呉服店(現在の株式会社中合:百貨店)を創業しています。
現在の安藤家屋敷の建物は明治38年(1905)に建てられたもので(土蔵:明治37年1904年・本屋:明治45年1912年・書院:大正5年1916年)、木造2階建、寄棟、桟瓦葺、平入、塗屋造、開口部は紅殻格子、虫籠窓が採用されています。敷地内には北大路魯山人縁の小蘭亭(離れ:木造平屋建て、入母屋、桟瓦葺、書院造り、襖には中国の雷文様、天井は杉綾模様に寿文字、北大路魯山人が命名)や庭師・布施宇吉が作庭した池泉回遊式庭園「古翆園」などがあり当時の長浜の豪商の名残を伝えています。
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