安楽寺(長浜市)概要: 無為山安楽寺は滋賀県長浜市細江町に境内を構えている臨済宗妙心寺派の寺院です。安楽寺の創建は不詳ですが、正和年間(1312〜1317年)、藤原不比等(藤原鎌足の2男、藤原家の実質的な家祖)の別荘の旧跡に九条家が安楽精舎を建立したのが始まりとされ仏智禅師(東福寺の開祖聖一国師の高弟)により正式な寺院として開山しています。足利尊氏の帰依が篤く、寺領300石と長刀が寄進され、遺言により自画像と位牌が当寺へ送り、尊氏の爪塚(五輪塔)が建立されました。
伝承によると足利尊氏が北国街道を利用し当寺の前まで進軍してくると、急に馬が動かなくなった事から当時の住職に尋ねると、尊氏縁の石に強い悪念が取り憑いていると告げました。尊氏も心当たりがあったのでその石を安楽寺に収め供養してもらったところ不思議と馬が動くようになり戦も勝利した事から尊氏から帰依されるようになったと伝えられています。
安楽寺は尊氏帰依の寺院として寺運も隆盛しましたが元亀元年(1570)の姉川の戦いの兵火により多くの堂宇が焼失し衰退します。江戸時代に入ると彦根藩主井伊家が庇護し、2代藩主井伊直孝によって再建され萬亀和尚(龍潭寺開山)を召還して再興を果たしています。
安楽寺庭園は夢窓国師が作庭にしたと伝えられる滋賀県の池泉回遊式庭園の中でも名園とされ、中心の池を琵琶湖に見立て、伊吹山、比良山、比叡山を借景として利用した鶴亀庭園で、参道の松並木は長浜市の保存樹に指定されています。近江湖北二十七名刹霊場16番札所。びわ湖百八霊場42番札所。山号:無為山。宗派:臨済宗妙心寺派。本尊:釈迦牟尼仏(室町時代に製作)。
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